法華経一部読誦講習会 in WEST

一々文々のオウム返しによる一部経読誦の講習会です。令和元年より関西でも開講しております。

愛知部経会・京都部経会、合同読誦会を開催!

新年度となり、皆さま方それぞれにお忙しいことと存じます。

去る3月26日(火)、京都市上京区の本山妙覺寺さまを会場に、愛知一部経読誦会の皆様と、地元京都部経会の合同読誦会が開催され、総勢25名が参加し、一部経を読誦いたしました。
愛知と京都の合同と書いておりますが、実際は2府県にとどまらず、東京や、大阪、奈良、兵庫等の近畿各府県、鳥取県島根県、そして西は九州の長崎県からも参加者が集い、一部経読誦会の広がりをヒシヒシと感じました。

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愛知一部経読誦会の皆様とは昨年も京都市の本山妙傳寺さまにて合同読誦会を開催し、今回で2回目の合同開催となりました。
それぞれ、地元にて定期的に読誦会を実施しておりますが、合同開催や遠征となるとテンションも普段とは異なり、非常にハッスルいたします。
しかも、当日は貫首様の宮崎日嚴猊下に御導師をお務め頂きましたので、緊張も相まって背筋も伸び、大変刺激の多い一日となりました。

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読誦会の後、懇親の席を設けて親睦を深め、一部経読誦についての意見交換などを行っていたのですが、参加した多くの方々が口々に、昨年6月に身延山にて開催されました「身延山開創750年慶讃大法要」での100人を超える一部経読誦の衝撃・感動が大きすぎて、一年近く経っても、あのような空間に座すことができた喜びが忘れられない、と語っておられました。
100人には全く及びませんが、25人での読誦会もなかなかに感慨深いものでした。
この感動を大切に、そして今後の活動に繋げていけますよう、両会それぞれに、引き続き活動に励んで参りたいものです。

さて、当ブログ読者の皆様にはご存じの方も多いと思いますが、実は本年、全国日蓮宗青年会の結集が5月29日に愛知県名古屋市で開催される予定で、愛知一部経読誦会の皆様をはじめ、全国より多数の青年僧が集い、なんと一部経を読誦されるとのことです。
そして、その成功に向けて、各地の青年会でも、現在それぞれに一部経読誦の研鑽が実施されています。

この取り組みは、確実に、一部経読誦の広がりをさらに大きくすることでしょう。
全国日蓮宗青年会の執行部の皆様、実行委員の皆様、地元青年会の皆様、そして当日参加の青年僧侶の皆様、どうぞ、身延での読誦会に劣らぬ感動的で素晴らしい読誦会となりますよう、一心に祈念申し上げます。

そして、各地部経会の会員はもちろんですが、講習会の参加者もどんどんと増えるとうれしいところです。次回、六之巻の講習会の日程が決まりましたら、ブログにて告知いたします。(もうしばらくお待ちください。)
皆様に有意義な講習内容をお伝えできるよう、スタッフ一同、準備に力を注いでまいります。

五の巻講習会3日目

2泊3日が長いのか短いのか、感じる方は人ぞれぞれですが、濃厚な時間は、時が早く過ぎるように感じるのは私だけでしょうか。
本日も寒い中、早朝より本堂にて朝勤、昨日練習した五の巻の後半を読誦しました。

本圀寺様の本堂は天井も高く、声がよく響きます。お経の前後も含めておよそ1時間、講習会が進むにつれてお経の熟練度が増した分、声も大きく出ていたように感じます。

朝食の後は、最後の仕上げ。本師堂にて今度は五の巻を通読します。
教場での練習中は、間違いがあったり質問があったりしてお経が止まると、少し気を抜く隙間もありますが、お勤めとなるとノンストップです。ましてや一巻通読となると、丸々1時間はお経本と睨めっこですから、気持ちを張り続けるのも大変です。

ですが、この講習会にお集まりの皆様は本当に熱心な方ばかりで、1時間の読誦中も、一向に気持ちが下がる気配がありません。
たとえ読み間違えたとしても、すぐにリカバリーし、その間違いを取り戻さんとばかりに更に声を大きくして読誦に取り組んでおられました。

まだまだ僧侶としての経験が多くない方なら、長時間の正座も苦手かもしれません。でも、時折り少しモゾモゾ足を組み替える程度で、一心にお経に集中しておられるお姿はとても尊いものでした。

9時から始めた最後の読誦行を終え、本師堂をゆっくり参拝し、アンケートを回収して、10時半頃に解散となりました。

3日間、至らぬ点が多々ございましたが、多くのご参加を賜りまして、本当にありがとうございました。
まだ次回の日程は未定ですが、次はいよいよ寿量品です。学びの多き講習会となること間違いありません。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

最後に、会場を快くご提供くださいました本圀寺の貫首様、山務員の皆様、お食事など生活面を温かくお支えいただきましたお勝手の皆様方に、衷心より感謝し御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

単己無眷属

昨日の内容講義でも、「五之巻の中でも、特に従地涌出品第十五が大切ですね」とおっしゃっていました。なぜなら、地涌の菩薩様がお出ましになるからです。

地涌出品では、六万恒河沙の菩薩様方が涌出され、しかもそれぞれに六万恒河沙の眷属をお連れになっている、と説かれています。
恒河沙とは「ガンジス川の砂の数ほどたくさん」という意味で、つまりは数えきれないほど膨大な量を意味します。
余談ですが、日本では江戸時代に恒河沙は10の22乗(10,000,000,000,000,000,000,000)と定義されていたそうで、例えばこの説を用いますと、六万恒河沙とはそのさらに6万倍ですから、数字で書くと600,000,000,000,000,000,000,000,000人の菩薩さま。そこに、それぞれが六万恒河沙の弟子を引き連れているのですから、総勢で360,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000人の菩薩とその眷属たち、ということになりますね。むむむ、確かに数えられない・・・。

その膨大な数の菩薩さま方は、お釈迦様の滅後に法華経を弘めるという使命を預かられた方々でありますから、末法鎌倉時代にお出ましになり、身命を惜しまず法華経の弘通に励まれました日蓮聖人は、地涌の菩薩に違いありません。
そしてその末弟である私たちもまた、かたじけなくも僧侶として法華経を語っているわけですから、地涌の菩薩なのだと習います。

私自身、信行道場を出て以来、何度も「『私たち僧侶はみんな地涌の菩薩である』という自覚を持ち、いかなる苦難にも負けず、身命を惜しまず、法華経を弘めなければなりません」と訓示をいただいてまいりました。
しかし、まだ大学出たばかりの私(いえ、今も尚)にはそんな言葉は大変重いものでした。
そんな時、「地涌の菩薩にもいろいろあるんだよ」と教えてくださった方がありました。

地涌出品を読み進めますと、地涌の菩薩には、一万人の眷属を連れた菩薩、千人、百人、十人の眷属を連れた菩薩、三人、二人、一人の弟子を連れた菩薩、と続き、最後には「単己無眷属」と、本人のみで一人の眷属も連れていない菩薩もいると説かれます。
その恩師は、「それ程の弟子の多少があるということは、地涌の菩薩にもエリートもいればそこそこの菩薩もいるのでしょう。だから、貴方も貴方で、自分の力に応じて頑張ればいいじゃないですか」と言ってくださったのです。

弟子を一人も連れていないとはいえ、地涌の菩薩はみな金色で三十二相を具えていると説かれます。長年にわたる仏様の教化を受け、自身も菩薩行に励まれ、そのようなお姿になられたのですね。
ですから、私のような凡僧と比べることは大変おこがましいことです。

しかし、私たちもまた、今世において法華経とのご縁をいただき、浅薄ながらも僧侶として人々に語る機会をいただいているのだから、きっと従地涌出品に登場する夥しい数の菩薩様やその眷属・弟子の中にいたのでしょう。

ならば、うだうだと言い訳を言う暇があれば、恩師が叱咤してくれたように、自分にできる限りの教化を、悩み、喜び、楽しみながら取り組むべきなのだ、とそれ以降、考えるようになりました。
そして、自分が無眷属だったとしても、仲間は六万恒河沙もいるのですから、決して心細くはないのです。そう考えるととても楽しく思えますね。

読み返すとやはり、大分とおこがましい文章になってしまいましたが、五之巻講習会中に思い出したエピソードでした。

五の巻 内容講義

さてさてお待ちかね、楽しい楽しい内容講義の時間がやってまいりました。

「学校の授業が退屈で退屈で」「勉強なんて今まで楽しかったことなど一度もない」と仰るそこの貴方。騙されたと思って一度ご参加下さい。
この法華経の内容講義は、終始笑いがたえず、ホントに楽しいのです。その上、収穫の多い内容で、グイグイと引き込まれて行き、受講生の皆様も講師の一言一言その度に頷いて聞いておられます。

五の巻には、女人成仏が説かれる提婆達多品、お祖師様の法華色読の文証たる勧持品、お釈迦さま滅後の悪世に布教する為の実践方法が示される安楽行品、そしていよいよ本門に入り、地涌の菩薩がお出ましになる従地涌出品が説かれます。
どれを一つ取っても長時間語れるほどの大切な経品ばかりです。

もう開始して1時間経ちますが、まだ提婆達多品のお話が続いております。これは、今夜も長い講義になりそうだ…。

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五の巻講習会2日目 その2

朝勤・朝食の後は、昨日同様、今度は五の巻の後半(安楽行品第十四の後半と従地涌出品第十五の最後まで)を、一々文々のオウム返しで練習します。
一句一句丁寧に繰り返し読み進め、一通り習い終えたのは14時すぎでした。

14時と聞くと「まだお昼過ぎじゃないか」と思われるかもしれませんが、午前9時頃から14時過ぎまで、昼食時間を除いて4時間以上、ひたすらに経本と向き合う濃厚な時間。濃厚で楽しくもありますが、疲労も蓄積されていきます。
美味しいコーヒーとお茶菓子で疲れを紛らわせながら、皆さま根気よく精進を重ねておられます。

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その後は、主任講師を囲んで質疑応答を1時間強。
法華経読誦の何たるか、僧侶のあるべき姿とは、あるべき師弟関係とは、今日に至るまでの様々な伝統の重みについて等、深く心に刺さるお話をたくさん聞かせて頂くことができました。

中でも、最後に仰った「お経は読めるようになって一人前ではない。人に教えられるようになって初めて一人前だ、と先人達から何度も聞かされてきた」というお話が心に残りました。
師弟間でお経を指導することが廃れてしまおうとしている昨今。将来、自分にも弟子ができた時、今学んでいることをしっかり漏らさず伝えられるようでありたいと思いました。

とはいえ、私達も講習会という形でかたじけなくもお経練習をさせて頂いていますが、まだまだ発展途上の身。いつになれば堂々と教えられるようになるのでしょう。
コスパ、タイパなどという価値観が持て囃される現代社会ですが、ローマは1日にしてならず。日々のコツコツとした精進を積み重ねるのみでしょう。そんな日を思い描いて頑張りましょう。

五の巻講習会2日目 その1

講習会2日目の今日は朝からあいにくの雨。
といっても、お寺から出る事はなく一日中お経の練習ですから、かえって外界に気を取られることがなくていいかも。晴耕雨読

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主任講師の振屋先生を導師に、大本山本圀寺様の本堂にて朝のお勤めを行い、昨日練習した五の巻の前半を読誦しました。
ハッキリと発音できるペースで、勢いに任せて加速することもなく、粛々と読誦しました。
五の巻前半の読誦は時間にして40分弱、落ち着いたよい朝勤となりました。
地元京都と雖も、本圀寺様の本堂の内陣に座して朝勤に出座することは、滅多にあることではありません。本当にありがたいことです。

本圀寺様といえば、何やら今年は世間の話題となっているとの話を耳にしました。
本圀寺様の境内には、九頭龍銭洗弁財天様が祀られています。
この九頭龍様のお社は、金色の龍が巻き付いた珍しい形式なのですが、今年は辰年ということで、多くの方々が遠近よりお参りにお越しになっておられるのだそうです。

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講習会初日の昨日も、何人もの参拝者がお越しになってました。参拝の皆様にもお経練習の声が聞こえているでしょうから、よりありがたく感じて頂けると嬉しいですね。
あ、でも、今日は雨ですからお参りは少ないかなぁ。

五の巻講習会1日目その2

当講習会では、二泊三日を通して一巻を学びます。1日目には前半を、2日目に後半を。
ですので、本日は14時から提婆達多品第十二、勧持品第十三、安楽行品の前半までを習います。

勧持品と聞くと、要品に経末の20行の偈文が載っていますので「當著忍辱鎧」「数々見擯出」「我不愛身命 但惜無上道」などの経文は耳馴染みがあると思います。
ですので、勧持品にはとてもパワフルで強いイメージを抱きます。
では、勧持品には、20行の偈の他に、どんな教えが説かれているのでしょう?

これまでお釈迦さまは、舎利弗さまを始め、多くのお弟子さま方に授記を与えてこられました。高弟達はこれまで、自分達が佛に成れるだなんて考えもしませんでしたから、踊躍して喜びました。それを、憂いを抱きながら眺めている方々がいらっしゃいました。
お釈迦さまの乳母のマハーパジャーパティ様と6000人の比丘尼たち、そしてお釈迦さまの出家前の奥様のヤショーダラ様です。
すぐにお釈迦さまはお声をかけられ、他のお弟子さま方に漏れることなく、お二人にも授記を与えられるのでした。

提婆達多品には龍女の成仏が説かれ、女人成仏の典拠として尊ばれますが、勧持品でも比丘尼に授記が与えられ、女性にむけた法門が2品続けて説かれています。
勧持品には20行の偈のパワフルで強いイメージだけではないのですね。

ちょっと脱線を。
講習会には近畿以外にも様々な地域から参加して頂いてますが、それ故に差し入れも遠近各地の品々が寄せられます。
今日は静岡藤枝の名物「サッカーエース最中」なるお品を3時のおやつに頂きました。


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抹茶味はグランドの芝生を、紫芋味はピッチ上を躍動するサッカー選手を表現している、というとてもユニークなお菓子です。ご馳走様でした。