法華経一部読誦講習会 in WEST

一々文々のオウム返しによる一部経読誦の講習会です。令和元年より関西でも開講しております。

星にまつわる悩み

2月といえば節分(もう終わってからの記事で申し訳ございません)。

節分は冬から春へと季節が移る節目であり、特に2月の節分では、暦が新しい年へと変わりますから、多くの日蓮宗寺院では節分会や星祭りが営まれ、檀信徒の皆様の好運気を祈ります。

さて、皆様の運気上昇を祈念する時、私たちは「善星皆来!悪星退散!」と願文をお唱えします。

私はこれを「ぜんせいかいらい!あくせいたんさん!」と読んでいますが、皆様はどのように読んでいらっしゃいますか?

 

実は今朝、朝勤で「薬王菩薩本事品第23」をお読みしておりましたら、「星」という字が出てきました。

お釈迦様が、法華経があらゆる経典の中で最も素晴らしいことを、10の喩えを用いて述べられる所に、「多くの星の中で月天子が一番であるように、この法華経は諸の経法の中で最も明るい」と説かれています。

この時、「又如衆星之中」の経文をお読みする時、「星」は「ショウ」と読みます。

 

「星」を漢字辞典で調べますと、漢音が「セイ」、呉音が「ショウ」と記されています。経文は呉音で発音することがとても多く、上記の経文もやはり「ショウ」と読んでいます。

もう一か所、「妙荘厳王本事品第27」にも「日星宿三昧」とありますが、こちらも「ショウ」です。

では、冒頭の「善星皆来!」は「ぜんしょう」と読む方がよいのでしょうか?

 

「善星皆来」は「身体健全」等と同じく、お経の中にある言葉ではなく、お祈りの願意としての造語でしょうから、厳密な発音を求めることは必要ないのかもしれません。

逆に、「気力安楽」や「智慧明了(瞭)」等、経文にある言葉を願意に用いる時は、「けりき」「みょうりょう」と経文の通りの発音で読んでいます。

 

正しい発音を「こうでなくちゃいけない!」と、1つに決めつけてしまうと少し窮屈で、いくらか慣習読みも残してもよいように考えますが、質問をお受けした際にお答えするには、返答する為の何らかの基準、ルールが必要で、私たちも悩んでしまいます。

一部経の読みに関しましては、スタッフ一同、何度も読み合わせを行い、すり合わせを綿密に行いますが、回向・祈願の文言は、また別の議論が必要に思います。

いやぁ、気にしだすとキリがないですね…。