法華経一部読誦講習会 in WEST

一々文々のオウム返しによる一部経読誦の講習会です。令和元年より関西でも開講しております。

息継ぎの時に肩があがりませんか?

大勢でお経を読んでいる時に周囲を見ておりますと、息継ぎの時に大きく肩が上がる方が少なくありません。

特に、御祈祷の時など、「大声を出そう」と考えれば考えるほど、「なるべくたくさん息を吸おう」となり、つい肩が大きく上がってしまうようです。

これは、お腹で息を吸う、つまり腹式呼吸が出来ていない事の現れです。(私も人のことを言えないのですが。)

 

歌を歌う場合や楽器を吹く場合、腹式呼吸は基本中の基本です。ですので、そういった方々は必ず初めに呼吸法の訓練を受けて、それから本題の練習へと進みます。

しかし不思議なことに、私たち僧侶は僧侶になるまでに呼吸法の指導を受ける機会がほとんどありません。そして、僧侶になってからも、そういう内容の研修会も滅多に開催されません。何故なのでしょう?

 

先輩に「もっと声を出せ!」と厳しく怒鳴られ、「どうすれば大声が出るか」と素人ながらに考え、色々と試した結果が、上述しました肩での呼吸ではないでしょうか。

そしてこれは、吸う時だけのことではありません。肩を上げて息を吸ったならば、息を出すときも胸や肩の筋肉を使って声を出しているはずです。

 

これを読んで、「あ、俺の事かも」と思った方は、まず、息を吸うときに肩が上がらずに息を吸うように、そしてなるべくお腹の低い位置に吸った息が溜まるように、と意識しながら息を吸ってみてください。

例えば、肺を一つの袋だとイメージしてみてください。袋に空気を入れるならば、上部を引き上げるよりも下部を引き下げる方が効率がよいはずです。

そして、袋に入った空気を外へ出す時、上(肩)から押さえつけて上(口)へ出すより、下(腹)から上へ向かって出す方が楽に出せると思いませんか?

 

すぐに改善できるものではないと思います。ですが、意識するだけで少しずつ変化があるはずです。

まずは、自分が息を吸う時に肩が上がっていないか、お腹で息を吸えているか、じっくり観察してみてください。自分の現状を知ることは大切です。

 

大声を出すために、私と同様、素人ながらに発声に苦心してこられた方は少なくないでしょう。しかし、おかしな発声法で喉をつぶしてしまったり、必要な時に必要な声量が出ないなど、本業に支障が出るようでは本末転倒です。

 

便利な時代になり、発声法に関する本もたくさん出ていますし、YouTubeにも発声法に関する動画がたくさんありますので、いろいろとご覧になってみてください。

 

読経講習会でも、皆様と共に呼吸法について学ぶ機会が設けられるといいなと考えています。