法華経一部読誦講習会 in WEST

一々文々のオウム返しによる一部経読誦の講習会です。令和元年より関西でも開講しております。

ハラ・ナイ?ハー・ラー・ナイ?

お経を複数人で読んでいると、その読み方の差異により、知らずにお経がずれてしまう箇所が数か所あります。

お経は基本的に1字を一拍と数えますが、例えば「舎利弗」は「舎利」の2字をつなげて一拍で読みますので、3字ですが二拍に縮まります。

他にも「比丘比丘尼」や「阿修羅。迦楼羅」など、縮めて読む決まりとなっている語句はいくつもあります。

大体は規則に従って、誰もが同様に縮めて読んでいると考えられますが、実はその中で、その縮め方が統一されていない箇所がいくつかあります。

 

代表的なものに、「波羅奈」(ハラナイ)があります。

 「波羅奈」とはバーラーナシーというインドの地名です。少し以前はベナレスと呼んでいた町です。バーラーナシーには初転法輪の聖地サールナートがあります。

譬喩品の該当箇所を書き下しますと、「佛、むかし波羅奈において初めて法輪を転じ」となり、初転法輪について述べられているのだと分かります。

 

「波羅奈」は方便品に1回、譬喩品に2回、計3回出てきます。

当講習会では、3回の「波羅奈」を全て縮めて「ハラ・ナイ」と二拍で読むようにお伝えしています。

これは、例えば「舎利弗」を場所によって伸ばしたり縮めたりすることがないように、地名や人名といった固有名詞は、全て同じように読むべきではないか、という考えによるものです。

 

一方、日蓮宗新聞社で販売されている一部経のCDを聴きますと、方便品の所は「ハー・ラー・ナイ」と三拍で読むのですが、譬喩品の所は2回とも「ハラ・ナイ」と「波羅」を一拍に縮めて読んでいます。

当講習会の読みと同様、三回とも「ハラ・ナイ」と二拍で読む方も多くいらっしゃると思いますが、どうやら、このCDのように読むのが古来の決め事のようで、各地部経会でも、そう読んでいらっしゃる方の方が多いのではないでしょうか?

立教開宗750記念に全寺院にご恵贈賜りました服部上人編の二巻本(以後「服部本」)にも方便品の「波羅奈」には縮める記号はつけられていません。

舎利弗」が「シャー・リー・ホツ」になる箇所は一つもありませんが、「波羅奈」は登場箇所によって読み方が異なるという、不思議な慣習があるのです。

 

何か明確な理由があって先師方は古来このように読み分けてこられたのでしょうか?ご存知の方がいらっしゃいましたらご教示いただきたいと切に願います。